「トントン」は、数年後に効いてくる
子どもが生まれる前、私は「トントン」にかなり万能なイメージを持っていた。
ドラマやCMで見る、あれだ。 泣いている赤ちゃんを抱っこして、背中を優しくトントン。すると赤ちゃんは、安心した顔でスヤァ……。
「子どもってトントンしたら寝るんだな」というイメージが、刷り込まれていた。
でも現実は、違った。
トントンで寝ない、という現実
娘が生後3か月くらいの頃。
昼寝の時間に、寝ない。 夜の寝かしつけでも、寝ない。
オルゴールをかけてみる。お腹をトントンしてみる。
寝ない。
こんなに穏やかなメロディーを聴きながら、
どうしてこんなにも泣き叫ぶことができるのか。
娘の泣き声を聞き続けて、30分以上経っただろうか。
やっと寝た。気づけば22時。
食卓に置きっぱなしだった味噌汁は、すっかり冷めていた。
4歳の娘は、トントンですぐ寝る
最近、ふと気づいた。
4歳になった娘が、トントンですぐ寝るのだ。
夜寝るとき、添い寝をしながらお腹をトントンしていると、
ものの数分で呼吸が深くなっていく。
トントンしはじめると「あっ始まった!」と言わんばかりに
ニコニコしながら目をつぶり、あっという間に深い眠りにつく。
赤ちゃんの頃は、あんなに効かなかったのに。
なんなら、一生効かないんじゃないかと思っていたのに。
小2の私と、母のトントン
そういえば、と思い出したことがある。
小学校2年生くらいだったと思う。 熱が出て、夜なかなか眠れなかった。
身体はだるいし、頭もぼーっとする。
眠いのに眠れなくて、不安だった。
母がベッドの隣に来て、お腹をトントンしてくれた。
すると、不思議なくらい安心して、落ちるように眠った。
あの感覚を、今でも覚えている。
赤ちゃんへのトントンって、もしかしたら“今すぐ結果が出る技”じゃないのかもしれない。
寝てくれる子もいるかもしれない。
でも、寝ない子もいる。
泣き止まない日もあるし、何をしてもダメな夜もある。
それでも、トントンを続ける。即効性はないらしい。
ただ、「この感触、なんだか安心する」という感覚を、子どもに伝え続ける。
そのためにきっと、何十回、何百回とトントンを続けるのだろう。
即効性はない。きっと数年後に効いてくる。
赤ちゃん時代のトントンは、無駄じゃなかったんだと思う。
即効性は低い。 でも、忘れた頃に効いてくる。
育児って、こういうことが結構ある。
今やっていることが、今すぐ形になるとは限らない。 むしろ、ずっとあとになって効いてくる。
あの時のトントンも、娘の中にちゃんと残っているのかもしれない。

