はじまりは2006年の冬
今年も、この季節がやってきた。
血沸き肉躍るイベント——M-1グランプリだ。
かれこれ20年近く見続けているが、ドハマりしたのは2006年。
チュートリアルが満場一致で優勝した、あの年だ。
当時高校生だった私は、郵便局の短期アルバイトをしていた。
ガラケーでワンセグ放送を録画したものを、休憩時間にひたすら再生していた。
ワンセグと言って、今の若い人に伝わるだろうか。
ときどき吹き出してしまい、周りのバイト仲間からの視線が気まずい。
我慢しよう…と思っても、何度も笑ってしまう「チリンチリン」のネタ。
あれから、毎年12月はM-1中心の生活になった。
2007年、「サンドウィッチマン」の、敗者復活からの逆転優勝。
2019年、無名のダークホース「ミルクボーイ」が「コーンフロスティ」のネタで優勝。
2024年、「令和ロマン」が、2年連続で「1番手からの優勝」という前人未到の快挙。
名場面は、あげ出したらキリがない。
ちなみに私は「お笑いオタク」ではない。M-1オタクなのだ。
初代チャンピオンの中川家から、昨年チャンピオンの令和ロマンまで、歴代王者を順番に言えるくらいには、追いかけている。
「準決勝進出者発表」から、M-1が始まる
私のM-1は、準決勝進出者の発表の瞬間から始まる。
そこには、常連の有名コンビもいれば、まだテレビではほとんど見かけない若手もいる。
昨年惜しくも準々決勝で敗退したコンビが残っていると、「よしっ!」とガッツポーズ。
聞いたことのない名前を見つければ、すぐにYouTubeで検索する。
そして、この時期だけは必ずチェックする「スーパーマラドーナのYouTube」。
巷でいう “Mおじ” の動画だ。
正直、M-1シーズン以外はほぼ見ていない。
それと、準決勝敗退者の中から1組だけ生還できる「ワイルドカード」。
視聴者による投票数で決まる。
準決勝敗退者の動画を、前評判の高い順にチェックして、自分の中での推しを決める。
過去には、Dr.ハインリッヒ、20世紀など。
ちなみに私の推しが、ワイルドカードに選ばれたことはまだない。
準決勝は、配信チケットを買ってチェックしている。
ただし、配信終了が早いので注意が必要だ。
以前、チケットを買ったのに仕事が忙しくて見れなかった年があった。最初の土日までは配信が続くだろうと思い込んでいた。確認不足だ。
いつか、準決勝の会場で観てみたいと思う。これは、私のやりたいことリスト100にも載っている。
M-1当日のルーティーン
M-1当日は、大忙しだ。
買い出しは午前中にすべて済ませる。
子どもの昼寝は、この日ばかりは夫に任せて、15時からの「敗者復活戦」に備える。
買っておいた大好きな大福を食べながら、各コンビのネタを楽しむ。
至福のひとときだ。
敗者復活戦が終わるころに、夜ごはんの準備に取りかかる。
メニューは毎年決まっている。鍋だ。
以前は、敗者復活戦が一旦終わって別番組を挟んでから本編が始まっていた。
しかし最近はM-1人気の高まりもあり、そのまま本編に突入する流れになっている。
嬉しくもあり、準備に追われるので、悩ましくもある。
M-1本編が始まってから、ネタが始まるまでは結構長い。
煽りVTR、前年度王者のコーナー、司会者や審査員の紹介、過去の振り返り…
一般視聴者にとっては「煽りVTR長いよ」と思うかもしれない。
でも、M-1ファンからしたら、一番ボルテージがあがる時間と言っても過言ではない。
「俺たちが、一番、おもしろい!」のナレーションで、
最後の瞬間に誰が映るか?
といった、コアな楽しみ方も知っている。
鍋をぐつぐつ煮ながら、一言も聞き逃すまいと、耳をすましている。
祈りながら見る
そしていよいよ本編。
私は1組1組のネタを、祈るような気持ちで見る。
「どうかベストコンディションで」「噛みませんように」
一体、誰目線なのだろう。
CMのたびに皿洗いを少しずつ進めるけど、ほとんど捗らない。
ファイナルラウンド進出者が発表される頃には、夫が子どもを連れて寝かしつけに入ってくれる。ここからは、全集中だ。
ネタが終わると、緊張と笑いで、くたくただ。
最終3組のネタが終わると「このコンビが優勝かなぁ」と、実家の家族LINEに投稿してみる。母や姉の反応は、自分とはまた違って面白い。
M-1の夜は長い
優勝コンビが発表されても、私のM-1は終わらない。
すぐに「大反省会」的な番組の配信が始まるので、それを聴きながら皿洗いの続きをする。
寝室に移動し、すやすや眠る子どもの横に、そっと座る。
そして、TVerで今日気に入ったネタを見返して、もう一笑いしてから眠りにつく。
翌日以降は、YouTubeやラジオで、感想を語っていそうな番組を漁る。
最後に「M-1アナザーストーリー」をチェックしたら、ようやく私のM-1シーズンがひと段落する。
1ヶ月分の楽しみをくれるM-1
M-1は、私にとって年に一度の祭り。
12月が近づくと、そわそわする。
およそ1ヶ月、M-1関連の情報で、気持ちが満たされる。
誕生日より、クリスマスより、M-1だ。
コナンの翌年の映画タイトル公開も、この時期だ。実に忙しい。
さて、今年も準決勝進出者のチェックから始めよう。

