SMTP・POP3・IMAPの違い、言えますか?

通信プロトコルの勉強をしていると、「SMTP」「POP3」「IMAP」っていう言葉、聞きますよね。
IPAの基本情報技術者試験や情報セキュリティマネジメント試験でも、よく出題されます。
「確か、メールに関するプロトコルだよねー・・・」
ということは何となく覚えているものの、違いについてはごちゃっとしてしまいます。
そこで今回は、名付けて「メールプロトコル3兄弟」の違いを四コマ漫画でイメージ解説していきます。この機会に、覚えてしまいましょう!
そもそも「プロトコル」とは
まずは「プロトコル」についてのおさらいです。
ITにおける「プロトコル」とは、コンピュータ同士で通信を行う上での「お約束ごと」です。
日常英会話が怪しい私が、外国の方から話しかけられた場合、
簡単な英単語の組み合わせ、Google翻訳、ボディランゲージなどで、なんとか意思疎通ができる可能性はあります。
ですが、コンピュータは「なんとなく」ではやりとりできません。
「この場合はこうしようね」という厳格なお約束ごとを決める必要があります。
それが「プロトコル」です。
HTTPやDHCPなど色々ありますが、今回はメールに関するプロトコル3つに絞って、説明します。
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)とは
SMTPを一言で言うと「メールを送信するためのプロトコル」です。
「エスエムティーピー」と読みます。
以下ような用途で利用されます。
- 自分のメールソフト(Gmail、Outlookなど)が、送信サーバにメールを送信するとき
- 送信サーバ同士がメールを中継するとき
とにかくメールの「送信」に特化したプロトコルです。
SとMを反対にして
メール(M)送信(S)プロトコル、と覚えましょう。
ポート番号については、以前は25番が使用されていました。
ですが現在は、セキュリティ上の観点からユーザーがメールを送信する場合は、SMTP-AUTH認証が必要な587番ポートを推奨しています。
25番ポートは、主にサーバ同士の転送に利用されます。
にこにこ(25)送信、こわいなこわいなー(587)、よし認証しよう
で覚えましょう。
POP3(Post Office Protocol version 3)とは
POP3を一言で言うと「メールを受信するためのプロトコル」です。
「ポップスリー」と読みます。
以下のような用途で使われます。
- メールサーバーから、自分のPCやスマホにメールをダウンロードする
- ダウンロード後、メールはサーバーから削除される
POP3の標準仕様では、受信後にサーバから削除します。ただし、現在のメールソフトでは、「サーバに残す」設定も一般的です。
ポスト(P)からお手紙(O)ピックアップ(P)で覚えましょう。
POP3の標準ポート番号は「110番」です。
SSL/TLSで暗号化されたポート番号は「995番」です。
J-POPスターが110番(110)したのは
九九(99)が言えずに(5)転んだから
で覚えましょう。
IMAP(Internet Message Access Protocol)とは
IMAPを一言で言うと「メールをサーバに残したまま、複数端末で閲覧できるプロトコル」です。GmailやOutlook.comなどの、クラウド型メールで一般的です。
「アイマップ」と読みます。
みなさんもGmailを利用する場合、PCで既読にしたメールが、スマホで見ても既読になりますよね?あれば同じサーバを覗いており、状態が同期されるためです。
IMAPではメール本文だけでなく、既読/未読やフォルダ分けの状態もサーバと同期されます。
POP3と異なり、特定の端末にメールをダウンロードしてサーバから削除しないため、他の端末からでもメールが閲覧できるのです。
※設定によっては、サーバからメールを削除することも可能です。
居間(IMA)からポスト(受信トレイ)を覗いてメールを見る
で覚えましょう。
IMAPは通常143番が使われますが、993番はSSL/TLSで暗号化されたIMAP(IMAPS)に使用されます。
今(IMA)までサーバに残すとは、いい読み(143)してる
居間(IMA)で九九(99)3回
で覚えましょう。
暗号化って?SSL/TLSって何だっけ?という方は、以下の記事もお読みください。
【4コマ】SMTPとPOP3とIMAPの関係性
今まで説明した「メールプロトコル3兄弟」を、四コマでまとめました。




- MUA(Mail User Agent)・・・いわゆるOutlookやThunderBirdなどの「メーラー」のこと。
- MSA(Message Submission Agent)・・・SMTP-AUTHの認証機能が有効の場合は認証し、OKならMTAにメールを渡す。
- MTA(Mail Transfer Agent)・・・メールを別のサーバに中継、転送するサーバソフトウェア。
- MDA(Mail Delivery Agent)・・・MTAから受け取ったメールを、ユーザーのメールボックスに格納する。(dovecot、procmail、maildropなど)
まとめ
名称 | 一言でいうと | 特徴 |
---|---|---|
SMTP | メール送信プロトコル | ・25番(サーバ間転送) ・587番(ユーザー送信用、認証) |
POP3 | メール受信プロトコル (受信して持ち帰る) |
・110番(暗号化は995番) ・受信後はサーバから削除(残す設定もできる) ・1つの端末での利用が基本 |
IMAP | メール受信プロトコル (手紙はポストに置いたまま、望遠鏡で覗く) |
・143番(暗号化は993番) ・メールはサーバに残す ・複数端末で同期(既読/未読、フォルダ分けの状態も反映) |
もっと詳しく知りたい場合は、他の記事や書籍も参考にしてください。